町屋手づくりいちばん 町屋俳句大会入選作品
町屋俳句大会では、荒川区界隈で俳句を募集いたしました。
ご参加いただいた皆様誠にありがとうございました。
数多くの作品の中から選考を行い五句が選ばれました。
入選作品五句を、稲畑廣太郎氏の講評を添えてご紹介させていただきます。
選者:稲畑廣太郎氏 俳誌「ホトトギス」主宰・編集長
目黒学園カルチャースクール「稲畑廣太郎の目黒学園句会」講師

山桜満ちて吉野を駆け上がる 大月 浩子
講評・奈良県吉野山の桜は有名です。山の斜面を埋め尽くすように咲いている花は、下千本、中千本、上千本と咲き上って行く、その様子が的確に表現されています。
園児等の声透きとほる桜かな 荒井 桂子
講評・保育園か幼稚園の遠足でしょうか。桜の花が満開の公園に来たのでしょう。満開の花の下、落花も浴びながらかも知れず、園児たちの明るさが伝わってきます。
春光の陶土にしづむ指の腹 茂木 尚美
講評・陶芸に勤しんでいる姿が見て取れます。未だ柔らかい陶土に指を入れて陶器の形を作ってゆく。その中に春光も入れるという、春らしい明るさが素敵ですね。
人去りて枝垂桜の吐息かな 横須賀智子
講評・昼間は人で溢れかえっていた枝垂桜の名所も、夕方になるとだんだん人も減ってきて、枝垂桜は風にゆれるばかりになっています。「吐息」の表現が秀逸です。
花仰ぐ同じ淋しさ持つひとと 鈴木真理子
講評・人間は誰でも淋しい時はあるものですが、そんな心でも花を見ると少しは癒されるのでしょう。そしてその淋しさを分かち合える人が美しく描かれています。

